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あのな、帰宅部なんて部は作れん。
お前の話しは要するに、友達と仲良くしゃべって、遊んだりする場所が欲しいんだろ?
だったら、部なんて回りくどいものを作らんでもいいだろ。
とにかく、そういうことは家に帰ってからどっか好きなところでやれってことだ。」
『人斬り木島ノ衛門』の最後の一太刀を受け、僕はその場に崩れた。
木島先生はそんな僕の肩を軽く叩くと、
「まぁー、でも何事も熱心にやろうとするその姿勢は先生も感心するぞ。」
と言ってくれた。
しかし、敵の情けは無用と言わんばかりに、僕は木島先生の手から逃れ職員室を出た。
僕はもうあきらめるしかないのかと思いながら教室に置き忘れたカバンを取りに行く。
その途中美術室が目に入ってきた。
僕にとっては急に恨めしい場所になった訳だが、木島先生の言っていた真面目にやっている生徒がいると言っていたのを思いだし、ガラス窓から中を覗いてみた。
すると部屋の奥に一人の生徒が絵を描いていた。
その絵は、芸術がよく分からない僕からしても何か引き込まれるものがあった。
そして、何故だかもう少し近くでその絵を見てみたくなり、そっと部屋に入った。
絵の近くまで行くと、絵を描いていた生徒もこちらに気づき僕を見た。
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