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僕はその生徒を見たことがあった。
クラスは一緒になったことはないが、確か同じ学年の子である。
僕がその子に、
「どうも。」
と軽く挨拶すると、向こうはペコリと頭を下げた。
「僕は二年一組、田中悠。
確か君も同じ学年だったよね?」
「僕は二年三組、木越健一(きごしけんいち)。
僕も君を見かけたことはあるけど、こうやって話すのは初めてだね。」
先生が言っていたように、今は少子化が進み学校の生徒数も年々減少傾向にあるらしい。
しかし、そうは言っても、こうやって話したことが無い生徒同士がいることを思うと、圧倒的に多い帰宅部生徒を真・帰宅部に迎えることにより、まだ見ぬ生徒同士を結びつけ、若者の活性化に繋がるんではないかという、かなり強引な理由をもって、今度もう一度木島先生に相談をしてみようかと思う僕であった。
「絵を書いているところ急にごめんよ。
外から君の書く絵が見えてね。少し近くで見たくなったもんで。
それにしても、素晴らしい作品だね。
何か引き込まれる、そんな不思議な魅力をこの絵から感じるよ。」
僕がそう言うと、健一君はすごく嬉しそうにしていた。
「そうかな?
そう言ってもえると嬉しいけど、なんだか恥ずかしいな。
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