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それに、お前がよくても他の部員の意見も聞かなきゃだし、何より顧問の俺が許さないぞ。」
"ググ、やはり人斬り木島ノ衛門。
村人Aの不意な斬りつけにも耐えるか"
僕は一瞬、健一くんの言葉に一筋の光明をみたが駄目そうである。
しかし、健一くんの本当の姿は村人Aでなかった。
「先生お言葉ですが、美術部の部員でここへ来ているのは僕だけです。
あとの人はほとんどと言って来ません。
それに、先生。
先生も月に一度しかここへ顔を出さないじゃないですか。
僕はそれでもかまいませんが、部員も先生も誰も来ない部室は、やっぱりどこか寂しかったです。
そこへ、田中くんが来てくれて、僕の絵を見て誉めてくれた。
本当に嬉しかったんです。
だから、僕は田中くんがここを使ってくれてもかまいません、むしろ歓迎します。」
村人Aであった健一くんは、実はお奉行様のようだった。
さすがに木島先生も健一くんの話には思うところがあるようで、何も言えずにいた。
そして、少し考えるような素振りをしてから、
「分かった、木越がそこまで言うのなら仕方ない。部室を使うことは許してやる。
だがな、人数はいないし、集まっても帰宅部なんてものは認められないぞ。」
と言った。
"健一くんありがとう"
僕は健一くんの後押しに勇気をもらい胸を張っていった。
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