知る

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ああ。これは楓だな。 大きな唐揚げが大量に皿に盛られ 佐々木が ドンと机に置くと 「デカイな。。」 と 俺以外の全員が 不思議そうにじっと眺める。 瑛太が泣き出し 必死に慰めていた楓は その様子に気づいて 「あ。。あの。すいません。 なんかおかしかったですか。。。」 と心配そうに聞いてきた。 焦ったように全員が被りを振る様を横目に 大きな唐揚げを箸で掴み 頬張る。 旨い。 やはり楓の料理が一番旨い。 とはいえ 顔に出す訳にもいかず 黙々と咀嚼し 全員が手元の唐揚げに気を取られている間に 不安げな楓に向かって頷くと ホッとしたのか 楓は柔らかい笑顔を見せた。 日本酒を持ってきた千夏が 「楓ちゃんも食べよう。」と声をかけ 佐々木にも座れと顎をしゃくり 全員がテーブルを囲み 宴会が本格的に始まる。 康夫が怒られながらもコソコソ酒を飲み 涼もだいぶリラックスしてきた頃合いを見て 俺は話を切り出した。 「槙。来週のリゾート開発会社の説明会だが 反対住人は全員参加出来そうか。」 槙は頷き 「はい。今の所全員参加すると返事が。 反対運動に参加していない住人はわかりません。 大体が本島からの移住者で 興味も無い人がほとんどです。」 「よそ者にはわからん。」 康夫が顔をしかめると 千夏はかき混ぜるように 「あたしもよそ者だけど。」と 康夫を慌てさせるような事を言う。 いや。あのな。。と焦る康夫にひらひらと手を振り ビールをグッと飲み干した。 相変わらず男顔負けの飲みっぷりだ。 「冗談です。ただ移住者は半分リゾート地に 越してきた感覚があるから もっと施設が 充実したり 便利になった方がいいと思う人が 多いみたい。ママ友にもそう言ってる人いるし。」
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