知る

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「なんだ。」 槙が説明しろと涼に促す。 コイツは若い頃本島に居た為 事情に詳しくない。 だから涼を呼んだのだろう。 涼は うーん。と少し悩み 「俺。一応立場的に中立じゃないといけないから こういう話 しちゃ駄目なんだよな。 まあ。酒入っちゃったし プライベートの戯言として 聞いて欲しいんだけど。。。」 「わかってるよ。勿体ぶるな。」 幼馴染の気安さか 槙は早くしろと急き立てる。 「お前は普段寡黙な癖に 俺にはアタリが厳しいよな。 話すの止めようかな。」 涼は不貞腐れ ビールをぐびぐびと飲む。 すると楓が すっと口を挟んだ。 「あの。涼さん。すいません。。 俺 遙くんの事が心配で。。 何か出来ないかなって。あ。。自分なんかが おこがましいんですけど。 でも まだ子供なのに 無理に大人になろうとしてて。。 市長さんが影響してるのかなって思ったんです。 なので。。涼さんの立場はわかるんですけど。 出来れば教えて貰えませんか。 えと。。勿論涼さんが話したとか言いませんし。 あの。。えと。。」 必死に伝えようと言葉を繋げる楓に 涼は いやいや。と手を振り 「ごめん。ごめん。ちょっと槙にイラついただけで 勿論話すよ。ごめんね。」 ぺこぺこ頭を下げた。 そのやり取りは面白くはないが 楓らしい誠実さだとも思う。 佐々木がハラハラと俺の顔を見ているが 無視して盃の酒を空けた。 この誠実さで人の信用を得て 聞き込みの際 相手に不信感を抱かせずに 情報を聞き出す事が出来る。 それも何の策略も無しに。 だからこそ心配なんだが。 恐縮し 謝っている楓に大丈夫。と 満更でもなさそうな隣の男を眺めながら ムカムカと込み上がる感情には蓋をし 黙って 手酌で盃に酒を注ぎ グッと一気に飲み干した。
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