プロローグ

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【坂上田村麻呂邸】 田村麻呂は、現在世間的に病気療養中で、出仕の予定もない。 なので、2度寝を試みる。 なのにドタドタと足音を鳴り響かせ、渡殿を走る者が…。 田村麻呂は嘆息した。 「田村麻呂様!田村麻呂様」 足音が田村麻呂の居室の前でピタリと止まった。 「光円!聞こえおる。で、何事だ?」 「主上から文にございます」 田村麻呂は光円に背を向け、今度こそ2度寝を決め込む。 「主上からですぞ!殿!」 田村麻呂は溜息をつき、起き上がった。渋々光円に向かい、手を出す。 光円は文を捧げ持ち、田村麻呂に渡す。 田村麻呂の文を読みだした様子を見て、光円はそっと息をはく。 文を読み終わった田村麻呂は、又寝転がった。 「田村麻呂様!」 「読んでいいぞ」 田村麻呂は文を顎でしゃくった。 光円は頷いて、文を読み始めた。
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