癒えぬ痛み

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「ブルーハワイを一つください」 「俺も、ブルーハワイ一つ」 露店の店先で揃って同じものを注文した私たちは、端に寄ってかき氷が作られていく様子をジッと見ていた。 「ねぇ、駿」 「ん?」 「かき氷といえば、やっぱりイチゴだよね?」 「んー、まぁ。イチゴかレモンだな」 「レモン?いや、絶対イチゴでしょー」 ブルーハワイを頼んでおきながら絶対イチゴだなんて言うと変だけど、私の中では昔からかき氷といえばダントツでイチゴ味と決まっている。 さらにミルクがかかっていたりしたらもっと嬉しい。 でも、今日は…そのダントツのイチゴよりもブルーハワイを食べたくなった。 海斗が好きだった、ブルーハワイのかき氷。 鮮やかな青が一番夏っぽいからという単純な理由でいつもブルーハワイを選んでいた海斗は、食べ終わると青くなった舌をわざと出してヘラっと笑ってた。 あの日も、そうだった。 あの夏も、バカみたいに笑って「毎年それやってるよね」って。 笑い合ってた。 「夕海?」 「ん?あ、ごめん。何話してたっけ?」 「や、何も言ってないけど…いきなりボーっとしてたから」 「あははっ、そりゃあ暑いしボーっとしちゃうよー」 心配そうに私を見つめる駿に、わざと明るくそう答えた、その時だった。 「ブルーハワイと、メロン味、一つずつもらえますか?」 すぐそばから聞こえてきたその声に、時が止まったような気がした。
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