私物泥棒

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次の日には、今度は鉛筆が新品に替わっていた。 音楽室へ行く途中で、筆箱を忘れた事に気付き、教室に戻ったら中身の鉛筆が替わっていた。何で?僕のチビた鉛筆は?さっと辺りを探しても無い。音楽の授業が始まってしまいそうなので、昨日同様、貰ってしまう事にした。鉛筆の予備も無いし、何だかんだで新品は嬉しい。 お前に惚れてる奴でも居るんじゃね?と言う友人の言葉を僕は否定した。まさか、貧乏暮らしの僕なんか好きになる女子なんか居る訳がない。 「だって、昨日は消しゴム、今日は鉛筆。誰かお前に惚れてる奴が援助してるとしか思えないんだけど」 「いやいや、まさか。だって、僕だよ。家は貧乏、顔も成績も普通。こんな僕に惚れる女子なんか…」 「分かってねーな。お前、優しいから女子から人気があるらしいぞ」 「そうなの?」 ちょっと嬉しかった。だけど、友人の推測が本当だとしたら、消しゴムだって鉛筆だってその子のおこづかいから出ている筈だ。勝手に貰っておいてなんだけど、もう僕の為にお金を使わなくて良いよと思った。 「ありがたいけど、これ以上は良いかな。お前の推測が本当なら、その子のおこづかいが少なくなっちゃう。誰なのか知らないけど、先生に話して、もう僕の私物を持って行かないでとクラスの人に注意してもらうよ」 多分これで、事態は収まる。そう思っていたのに…。
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