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金の馬
むかし、ある国に三人の兄弟がいました。
一番上の兄は乱暴者でした。
二番目の兄はなまけものでしたが、とてもずるがしこい男でした。
一番下の弟は働き者でやさしい若者でした。
上二人の兄は一番下の弟が働き者なのをいいことに仕事をさぼって遊んでばかりいました。
ですが弟はちっとも怒らないのです。
毎日の食事の支度も、病気のお母さんの世話も怪我をしたお父さんの世話も、馬の世話も全部弟がしておりました。
ある日、寝たきりのお父さんがいいました。
「息子たちよ、もう私は先がながくない。はやく、お嫁さんをもらってわたしを安心させておくれ」
一番上の兄が言いました。
「ならば、お嫁さんを探しに行きます」
一番上の兄は馬を連れて別の国へお嫁さんを探しに出かけました。
馬はいやいやついていきました。自分の世話をしてくれない一番上の兄が嫌いだったからです。
旅の途中、一番上の兄は馬が疲れていても休ませてくれず蹄の手入れもしてくれませんでした。
野を越えて、山を越えて、ある国についた一番上の兄は美しい女の人を見つけました。
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