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居場所を求めて
「死にたい……」
そう思うことは悪いことでしょうか?誰だって生きることに前向きになれない時もあります。自分の存在を否定されて、無視されて……。自分には生きる価値なんてないと情けなくなります。
今日は久しぶりに実家に帰ってきたというのに、浮かない顔をしている彼女。そう……、ここには彼女の居場所なんかありはしないのだ。才能溢れる妹と家庭に干渉しない父、何があっても妹の見方をする母。冷めきったこの部屋で今日も息を潜める。極力目立たないようにするのが彼女にとって最善の方法なのだ。それでも周りの人をイラつかせてしまう私はただ黙って嵐が過ぎ去るのを待つしかない。カッターを手に当てたくなる衝動を必死に堪え、握りしめた手首には爪の痕と、ほんの少しの血の滲みが見える。それを必死で隠す彼女にはもう嵐の音なんか聞こえてはいない。
息を潜めてこっそりお風呂に入り、声を殺して思いっきり泣く。それが彼女の最近の日課になりつつある。時にはシャワーのノズルで頭を叩いてしまうこともある。そんなことをしてもいい事は何も無いということは、彼女も分かってはいる。わかってはいるが、どうしても止められない。やめることが生命活動をやめることに繋がるように感じ、余計に恐怖に感じるからだ。
自分の部屋でさえ安心できない。いきなり扉が空いたかと思えば、自分は出ていくしかない。私は邪魔をしてはいけないのだ。たとえそれが、勉強中であっても彼女が入ってきたらその場にいてはいけない。自分の部屋であっても開け渡すしかないのだ。存在自体がイライラさせてしまうのだから。
こういう時は、スマホをひらいて嫌なことを忘れようとネットに書き込む。
そうすることで彼女は嫌なことを吐き出せるのだから。誰に見てほしいでもない。ただ、口に出せない感情を思いっきり吐き出したいのだ。
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