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僕は名もない植物だ。
一応ナスの奴に似ているが、これといった特徴もなく、いつも様々な動物たちに美味しく召し上がられている。
僕を脅かすのは動物だけとは限らない。
例えば虫や小動物も、好き好んでこの実をかじりに来る。実ひとつをかじって意気揚々と去るくらいならマシだ。嫌がらせ的に幾つも実の美味しい所をかじっていく。
そして、穴だらけになった実にカビや雑菌を繁殖。そうなったら身だけでなく、僕本体にまでダメージを受けることさえある。
はあ、何とかならないものか。
ため息をつきながら自分の身体に目をやってみると、おや、一つだけ虫にかじられていない実があるじゃないか。見たところ、他の実と違いはなさそうなのだが…。まあいい。食べられてしまった実を作り直さないと。
地中から養分を集め、それを太陽の光と水でエネルギーを作る。
こうして時間をかけながら前のように実を作った。
すると、鳥がやってきて僕の身をついばみ始めた。
まあ、こいつならまだいい。何せ翼があるから僕の種を遠くの場所まで運んでくれるし。
鳥は僕の実の半分を食べると飛び去った。満足したらしい。
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