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「ロジナの残党狩部隊は此方に向かっているから大丈夫だけど野生のモンスターに襲撃されちゃう可能性は0じゃないわ、だから陣営襲撃に使った使役獣のカプセルと新しく作った双角龍のカプセルを各隊に渡しておくわ、救護隊甲には双角龍、救護乙にはメタルゴーレム、救護隊丙にはトーテムミノタウロス、救護隊丁には一角龍よ」
アイリスはそう言いながら各救護隊にカプセルを手渡し、その後に整列したミランダ達を見ながら言葉を続ける。
「それじゃあ今からダンジョンの外に転位させるわ、宜しく頼むわよ」
「分かりました、一同、敬礼!」
アイリスの言葉を受けたミランダが凛とした声で号令を発すると救護隊のエルフ達は流れる様な動作でアイリスに敬礼し、アイリスは少しぎこちない手つきで答礼した後に口を開いた。
「それじゃあ転位させるわね」
「ミランダ殿、宜しく頼む」
「皆様、どうか御無事で任務を完遂して下さい」
アイリスの言葉に続いて見送りに参加していたミリアリアとアイリーンが激励の言葉を送り、ミランダ達は頷きながらアイリスの転位魔法によってダンジョンの外へと転位した。
2時間後・救護対象甲
陥落したヴァイスブルクを脱して再起を期したヴァイスブルク伯国軍の残党、その一員であり第二騎士団に所属していたダークエルフの騎士、ラリッサ・シャルンホルストは同じく第二騎士団に所属していたサーシャ・フォン・グナイゼナウと共に懸命の逃避行を続けていた。
脱出の際にロジナ候国軍の弓兵の放った毒矢に脚を傷付けられたサーシャは回復魔法によって毒の廻りを食い止めながら懸命に逃亡を続けていたが回復魔法対策として複数の毒薬をブレンドした上に簡易的な抗魔魔法まで施されていた毒の廻りは魔力に長けたエルフと言えども完璧には阻止出来ず、サーシャは徐々に悪化する脚の状態に歯を食い縛りながら逃亡を続けていたがラリッサが追い付いた時にはそれも限界に近付いていた。
同じ騎士団に所属し親友でもあるサーシャの状態を見て取ったラリッサはサーシャに肩を貸しながら逃避行を続けたがその様な状況では当然距離を稼げる筈も無く、サーシャは頬を涙で濡らしながらラリッサに懇願を続けていた。
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