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そう言いながらハンナと共に姿を現したのは確かに殿として奮戦していたミランダであり、ラリッサとサーシャは意外な気配の正体に驚いたものの予想外の味方の登場と相手に抱いている疚しい意識から逃れられる事に安堵しつつ木陰から出て口を開く。
「第二騎士団所属のラリッサ・シャルンホルストです」
「同じく第二騎士団所属、サーシャ・フォン・グナイゼナウです」
ラリッサとサーシャはミランダとハンナに官姓名を告げたがサーシャは思わしくない脚の状態に顔をしかめかけており、それに気づいたミランダは直ぐに傍らのハンナに声をかける。
「直ぐに回復魔法を」
「任せて下さい、回復魔法は得意です」
ミランダの命令を受けたハンナはそう言いながらサーシャの所に駆け寄ると手近な所にあった木の根本にサーシャを腰掛けさせて治療を始め、その様子を目にしたラリッサは安堵の表情を浮かべながらミランダに声をかけた。
「ミランダ様、ありがとうございます、ですがミランダ様は殿を務めていた筈では?」
「……ああ、私は殿を務めていたが衆寡敵せず捕らわ、彼女や他の捕虜達と共に屑どもの慰み者にされていたのだが、救出されたのだ」
「……救出、ですか?一体誰が?」
予想外のミランダの説明を受けたラリッサは困惑の声をあげ、ミランダは周囲を警戒しつつ苦笑と共に言葉を続ける。
「……話せば長くなるが私達は現在救出してくれた御方に匿って貰っている、詳しい話はそこに到着してから行うつもりだ」
「わ、分かりました」
ミランダの言葉を受けたラリッサはそう答えると治療を受けるサーシャを愛しげに一瞥した後にミランダと共に周囲の警戒を始めた。
一方他の救護隊も他の救護対象と接触する事に成功して救助した彼女達をダンジョンへ向けて誘導し始め、マスタールームでその事を確認したミリアリア達とアイリーン達は救護活動が成功した事に胸を撫で下ろした。
残党狩部隊
アイリスの派遣した救護隊が逃亡中のヴァイスブルクの残党と接触を果たしていた頃、彼女達を追撃していると思い込んでいる残党狩部隊は追撃の再開に備えて朝餉を摂っており、その傍らではイライザとエリーゼが屈辱を味あわされていた。
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