惨劇・残党狩部隊中隊編・侵入

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「約束、何の事かね?連れて行け」 イライザの声を受けた中隊長が平然とした表情で白々しく言い放つと、部下達が引き摺る様にエリーゼをダンジョン捜索隊の所へと連れて行き、愕然とした表情でなす術無くそれを見詰めるイライザの耳元に優男風の魔導士と童顔の魔導士が囁きかける。 「……愚かですねえ、大陸協定にも批准していない野蛮人の貴女方エルフとの約束など我々選ばれし人族にとっては意味を持ちませんよ」 「……でも、やらしいお姉さんがおねだりしてみたら何とかなるかもね、変態副団長さん」 侮蔑の囁きを受けたイライザは唇を噛み締め、中隊長はその様子に相好を醜く崩しながら言葉を続ける。 「……ほう変態副団長がなあ、面白い、変態副団長として御奉仕が出来るならあの従兵に寛大な処置を約束しよう、いいか、あくまで変態副団長として御奉仕するのだ、快楽に耽る事無く御奉仕するのだぞ」 中隊長はそう言いながら野卑た笑みを浮かべ、イライザは暫く歯軋りした後に声を絞り出す。 「……わ、私は……い、イライザ・フォン・アルハンゲリスク……へ、変態副団長……です……あ……貴方様がたに……ご……御奉仕……致します……か……快楽に……耽る事……無く……御奉仕……致します……ど……どうか……変態副団長……の……御奉仕を……お受け……下さい」 (……エリーゼ……御前を……護る……泥水を……啜ろうとも……敵に……浅ましく媚を売り……無様に懇願しようとも……御前を護りたい……だから……持ち堪えてくれ……私の心……耐え抜いてくれ……私の矜持) 屈辱に震え悔し涙に頬を濡らしながらも懸命に奉仕を請うイライザに対して中隊長は満足げな笑みを浮かべ、一方エリーゼを連れたダンジョン捜索隊は随行する魔導士のスキャニングによってダンジョンの概況を把握した後に物見遊山に近い気楽さでダンジョンへと侵入した。 逃亡するヴァイスブルクの残党を追い続ける残党狩部隊、意気軒昂に進み続ける彼等は魔王のダンジョンに到達し、残党の痕跡を発見した彼等は物見遊山のごとき気楽さでダンジョンへと侵入した、その先に凄惨な地獄が待ち受けているとも知らずに……
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