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アイリスから告げられた魔王らしからぬ鷹揚な言葉を受けたラリッサは戸惑いながらも謝意を示し、アイリスはダンジョンクリエイティブの能力を使って2名用の部屋と3名用の部屋を1つづつ製作してラリッサ達にそこで休む様に伝えた。
ラリッサ達はアイリスの魔王らしからぬ鷹揚な対応と細やかな配慮に面喰らい恐縮しながらも宛がわれた部屋へと向かい、アイリスはラリッサ達を見送った後にミリアリアに微笑みかけながら自分の隣のソファーをポンポンと叩いた。
アイリスの行動を目にしたミリアリアは仄かに頬を赤らめながら頷くと、アイリスの示した所に腰を降ろし、テーブルに広げられた地図を見ながら口を開いた。
「情勢確認か?熱心だな」
「……永く眠っていたあたしに一番不足している物は情報よ、このダンジョンは護りに関してはある程度計算が出来るけど裏を返せば情報が集まり難いと言う事でもあるわ、だから機会や伝手があるなら出来る限り情報を収集しておきたいの」
アイリスがそう答えると情勢を説明していたアイリーンが微笑みながら頷き、ミリアリアが得心の表情で頷いているとテーブルに置かれていたベルが突然澄んだ音色を響かせ、ミリアリアは突然響いた音色に思わず立ち上がりかけたがアイリスはそれを制しながら静かに口を開く。
「大丈夫よ、侵入者がダンジョンに近付いて来たら自動的に鳴る様にしてあるの」
「……と言う事は来たのかっ!?」
アイリスの言葉を聞いたミリアリアは表情を鋭くさせながら問いかけ、アイリスは頷いた後にアイリーンに声をかける。
「と言う訳で一度切り上げるわね、助かったわ、また宜しく頼むわね」
「……この程度で御礼になるとは思えませんが、また、御協力させて頂きますわ」
アイリスの言葉を受けたアイリーンはそう言うと典雅な動作で一礼した後に後方に控えていたクラリスと共に退室し、アイリスはそれを見送った後にミリアリアに声をかける。
「……第四騎士団に所属していた娘(こ)達を呼んでくれる?助けた時に見知った顔が居た方が安心出来る筈だから」
「……ああ、そうだな、行ってくる」
(……貴女は何時もそうだ、魔王だから好き勝手にやっていると言うのに何かと配慮してくれている、だから私以外の皆も貴女に従う道を選択するのだ、誰も助けてくれなかった中で貴女だけが私達を気遣い、助けてくれたのだから)
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