嗤う新聞記者

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嗤う新聞記者

勘解由小路降魔さんと十二人の僕たち 嗤う新聞記者 私、島原雪次は警視庁怪奇課に勤務している警察官である。 昨今胸に占めているのは同期にして部下とも言える勘解由小路降魔(かでのこうじごうま)と言う男への、複雑にして何とも遣る瀬無い諦観にも似た感情だった。 この男、確かに恐ろしく有能だった。安楽椅子に座らせれば立て板に水の如く語り倒し、瞬く間に事件の真相を言い当てる。 確かに有能だ。同期として鼻が高い。勘解由小路とは大学時代から友誼があった。肩を並べてイギリスに留学もした。 そこで、国辱的な奴の非常識さを垣間見る事になった。 そもそも、奴はエコノミーどころかビジネスクラスも知らなかった。奴の管財人と言うか後見人は、遥か高い日本の政財界の頂点に君臨する過保護な老女だった。 まるでロイヤルファミリーにでもなったのか、というような留学期間だった。 それだけではなかった。留学中に奴が解決した事件は30を超え、怒らせた向こうの警察関係者、保護に立ち騒ぐ大使館員で無茶苦茶な有様になった。まだ警察官ですらない勘解由小路の乱暴かつ乱麻をぶった斬るが如き知性の冴えに、私と、同じく同期の二階堂皇(にかいぢうすめらぎ)も、大いに迷惑を被ることになった。
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