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「これ読んでみて」 麗らかな総合病院の中庭で、ベンチに腰掛けお茶を飲んでいると、待ち合わせに少し遅れた作家希望の彼女が、僕に新作を書いたの、と言って差し出した。 僕は彼女の作品はいつも楽しみにしていたから、喜んで受け取った。 「今回のは、いわば私の遺作かな……」 「またそんなこと言って」 入院中の彼女は、時々酷く弱気だ。 僕は部屋に戻り、彼女の物語を開いた。
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