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「上未先輩はもう推薦で大学決まってんだろ? やっぱ頭いい人はちげーな!」
「……う、うん」
龍大の羨ましがる言葉に、泉は気まずさを覚えながらぎこちなくうなずいた。その脳裏には、つい先日、当の上未から聞かされたことが蘇る。
―『私にはね、コネとお金があるの。親の跡をつぐから、そこまでのルートが全部決まっている。泉くんは羨ましいとおもう? こんな私を』
上未はいわゆる“お嬢様”であった。一人娘の箱入り娘。大事に育てられた、五ヶ崎家にとっての宝物。それゆえ、周囲の対応もまたそれに沿ったものだった。
龍大が“金持ちはいいな”というものも、周囲から“お嬢様だから嫁ぎ先には困らない”なんて言われてしまうことも、肩書あってのことだった。
「そうだね……」
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