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泉はそう相槌をうつことで精一杯だった。上未の個人的な悩みらしいことを、龍大にいうのは気が引けた。おそらく本人も、それは望んでいない。
「俺らもがんばろーな!」
「……うん」
龍大は、泉のそんな考えを知ることもなく、明るく笑う。泉はそれにつられるようにして微笑んだ。
昼休みの終了をつげる予鈴がなり、二人は授業で使う教科書やノートをカバンの中から出し始めた。
平成は十四年、西暦では二○○二年。
高校二年生になった一元泉は、苦々しい夏を迎えようとしていた。
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