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死神は自己紹介をする。
「ふあ~。」
「……呑気に欠伸していないで少しは手伝おうとかは思わないんですか。」
「無理。動けない。」
「……さようですか。」
ぐでっと、なんなら今すぐにでも溶け出してしまうんじゃないかと言うほどだらけきっている男をジト目で見るも、この男はそれすらも意に介していないようだ。
これは期待するだけ無駄だろうと諦めて手元の作業に戻る。
「できました。」
そう言って持って行ったのは丼に入った暖かいうどんだ。
男は先程までの体たらくは一体何だったのかというほど素早い動きでうどんの前にスタンバイする。
「いただきます。」
そいつは意外にもお行儀よく両手を合わせて、きちんとあいさつをしてからうどんを口に運ぶ。
一方で食事の時ですらフードを目深に被ったままではあるけど。
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