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「ち、ちょっと。アリア。その話は止めてくれ」
一生がお茶を吹き出して、自分の過去を晒す弟子を慌てて止めようとする。
だが、それで終わる彼女ではない。
寧ろ、話すスピードは上がるばかり。
「それでね、彼女『私は今まで沢山の弟子を輩出させてきた。だから、魔術や医術、薬術を教えることは出来るが、育てる事は出来ない。私は厳しいやり方しか知らない。この子達に自然や生物、この世界を生き延びる術と心構えしか教える事は出来ない。それはお前が一番知っているはずだ。でも、お前達は違う。人としての優しさや温かさを教える事が出来るはずだ。だから、お願いだ。この子達を預かってくれないか』って言ったの。確かに、この人は厳しさしか教えなかったわ。私も何回死ぬ思いをしたのか数え切れない程ですもの」
今なら笑い話で済む。
恐らく、彼女はそう思って私達に話し掛けてくれているのだろう。
悲しみを、別れという哀しみを思い出で塗り潰すために・・・・・・。
「でも、彼女は私に獣医術を教えてくれた師ですもの。私の先生ですもの。恩返しをするチャンスだったし、彼女の言うとおり、貴方たちと彼女を一緒にさせていると命が幾つあっても足りないわ。それは、もう貴方たちも身に染みて分かっているでしょう」
「確かに」
ローラー夫人の言う通りだ。
師匠はとても厳しい。
おねぇと 森の中や無人島に何も持たないまま1週間や1ヶ月放って置かれるなんてよくある事だった。
他にも、洞窟や海の真ん中で置いていかれたり、今考えたらとんでもない特訓をさせられていたものだなぁと思う。
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