第1話 旅立ち―1

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私とおねぇを温かく見守ってくれた。 もし、この人たちがいなかったら今頃私達は師匠の厳しい訓練に耐えかねて、どこかの森か島かで暮らしていたかもしれない。 でも、彼らがいてくれたお陰で今の私たちがいる。今、私達がいるのは、今まで支えてくれた人達がいるからなのだと思う。 それを、私は忘れないでいたい。 両肩に荷物をパンパンに詰め込んだバッグを背負う。 おおう。やっぱり重い。 両手で抱えてもつま先とつま先が当たらないくらいに一杯に入れたからなぁ。 旅ってこれで初めてだし。 無人島に行った事はあるけど―― 私とおねぇは、荷物をぱんぱんに詰めたバッグを背負って玄関に出る。 外に出て6年間お世話になった家を見上げる。 黄金の日差しに照らされて、ヒナキで作られた家が薄黄色に反射して輝いて見える。 玄関の反対側には、木々が鬱蒼と茂っている。 森や山にいる時だけ感じるこの清涼感。 この森とも最後のお別れになるかもしれない。 そう思うと、頭の中でここで過ごしてきた6年間の思い出が走馬灯のように駆け巡る。 リンちゃんやおねぇと罠を仕掛けて魔獣を仕留めたり、野外でキャンプをしてみたり、師匠に薬になる植物や動物を教えて貰ったりしたっけ。 師匠の修業はどれも辛いものだった。 森の中や無人島に一週間放り込まれたり?? いや、一週間なんてまだ良い方。 1ヶ月なんて余裕であったし、長いと1年なんて時もあった。 でも、思えばあれは師匠が私達に与えた試験だったのかもしれない。 いや、試練と言うべきなのかな。 でも、そのお陰で手に入れたものが沢山あった(後にその試練の内容とかは紹介するけど)。 命の大切さや生きるということ、協力することの大切さなどなど。 言葉だけでは数えきれない。 それらは、師匠が私達に与えさせてくれたのも同然な気がする。 だから、厳しかった師匠にも感謝はとてもしているんだよ。 それは、もう一生懸けたいくらいに。
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