7人が本棚に入れています
本棚に追加
おねぇとローラー夫妻、リンちゃんにお辞儀をする。
「それじゃ、私達は行きます。今までありがとうございました」
「いつでも帰って来ていいからね。ここはあなた達の家なんだから」
「もう行っちゃうの?」
リンちゃんがうるうる目を輝かして、私の顔を見上げてくる。
ポン、と頭の上に掌を優しく乗せて、
「大丈夫。必ず戻ってくるから。それまで、勉強をしっかりして立派な魔獣医師になっておいてね」
「うん。私、必ずお父さんやお母さんを越す魔獣医師になるから」
純粋無垢なリンの瞳を見ていると、こっちまで元気になってくる。
「分かった。それじゃ、次会う時までこれをリンちゃんに預けておくよ」
首にぶら下げているネックレスを外して、空に高く上げる。
「ちょっ、フクリア!? 何をしようとしているの!?」
姉のカミリアが止めようと手を伸ばしたが、私の抜刀術の方が速かった。
腰に掛けてある刀でネックレスの宝石を練っていくを真っ二つにした。
宝石は ものの見事に2つに割れた。
真っ二つに割れた宝石の欠片をリンの掌に乗せる。
「な・・・これって、フクシアお姉ちゃんの親の形見なんじゃ??」
「そうだよ。でもね、私にはもう血の繋がった親は1人もいない。どんな人なのかは薄っすらとしか覚えていない。これだけが親と私達双子の繋がりを証明するものなんだ。リン、でもね、今の私の家族はそこにいるあなたの両親と貴方と師匠だけなのよ。あなたは血こそは繋がっていないけど私達姉妹と同じよ。私たちは3人姉妹なのよ。だから、あなたにこれをあげる」
「フクシアお姉ちゃん」
「そんな悲しい目で見ないで。私には立派なハンターと薬術師になるという夢がある。おねぇにもハンターと医術師になるという夢がある。そんでもって、両親に会うという夢がある。あなたの夢は何? リン―」
「私、私の夢は・・・・・・」
一呼吸置いて彼女は言葉を放つ。
「私の夢は、エルフ一の魔獣医師になること。いや、世界で一番の魔獣医師になる!」
しっかりした意志と覚悟のある声だった。
「世界一かぁ。それなら、私達も世界一の薬術師と医術師にならないとね」
「そうだね。フクシアの言う通り。アタイも頑張らないといけないということね」
私達3姉妹はそれぞれ顔を合わして微笑み合った。
最初のコメントを投稿しよう!