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「私、私の夢は・・・・・・」
一呼吸置いて彼女は言葉を放つ。
「私の夢は、エルフ一の魔獣医師になること。いや、世界で一番の魔獣医師になる!」
しっかりした意志と覚悟のある声だった。
「世界一かぁ。それなら、私達も世界一の薬術師と医術師にならないとね」
「そうだね。フクシアの言う通り。アタイも頑張らないといけないということね」
私達3姉妹はそれぞれ顔を合わして微笑み合った。
いきなり、リンが抱きついてきた。
もう、最後だから。
彼女の太陽のような温もりがじんわりと伝わって来た。
その後、私とおねぇはローラー夫妻とも抱き合った。
師匠とは・・・・・・
そのような関係では無い。
だって、殺されそうだから。
私達が行こうとすると、
「それじゃ、森までは私がいなくても大丈夫だな。寄り道をするんじゃ無いぞ。時間の余裕は無いんだからな」
「はい。分かっていますよ。今さら」
本当に、あなたが心配性なのは十分に分かっていますから。
私が言おうとした前に、おねぇが口を開いて、
「私達は貴方の師匠なんですよ。弟子が旅立つときぐらい、自分が育てた弟子の力を信じて温かく見守って下さいよ」
「はは。これは一本取られたな。その通りだ。お前たちにそんなことを言われる日があるとはな」
いつもの師匠らしく無い、はははと乾いた笑い。
弟子が離れてしまうからだろうか。
そんな事を一瞬思ったが、いらぬ心配と頭の中から打ち消した。
「それでは、行ってきます」
「行ってきます」
大切な人達に背中を向けようとしたら、
「ちょっと待て」
私達の旅を止めるものがいた。
「最後に一つだけフクシア、あんたに言っておくことがある。そのままでいい」
一瞬、空気が硬直した。
本能的に警戒態勢に入る。
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