第1話 旅立ち―1

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「私、私の夢は・・・・・・」 一呼吸置いて彼女は言葉を放つ。 「私の夢は、エルフ一の魔獣医師になること。いや、世界で一番の魔獣医師になる!」 しっかりした意志と覚悟のある声だった。 「世界一かぁ。それなら、私達も世界一の薬術師と医術師にならないとね」 「そうだね。フクシアの言う通り。アタイも頑張らないといけないということね」 私達3姉妹はそれぞれ顔を合わして微笑み合った。 いきなり、リンが抱きついてきた。 もう、最後だから。 彼女の太陽のような温もりがじんわりと伝わって来た。 その後、私とおねぇはローラー夫妻とも抱き合った。 師匠とは・・・・・・ そのような関係では無い。 だって、殺されそうだから。 私達が行こうとすると、 「それじゃ、森までは私がいなくても大丈夫だな。寄り道をするんじゃ無いぞ。時間の余裕は無いんだからな」 「はい。分かっていますよ。今さら」 本当に、あなたが心配性なのは十分に分かっていますから。 私が言おうとした前に、おねぇが口を開いて、 「私達は貴方の師匠なんですよ。弟子が旅立つときぐらい、自分が育てた弟子の力を信じて温かく見守って下さいよ」 「はは。これは一本取られたな。その通りだ。お前たちにそんなことを言われる日があるとはな」 いつもの師匠らしく無い、はははと乾いた笑い。 弟子が離れてしまうからだろうか。 そんな事を一瞬思ったが、いらぬ心配と頭の中から打ち消した。 「それでは、行ってきます」 「行ってきます」 大切な人達に背中を向けようとしたら、 「ちょっと待て」 私達の旅を止めるものがいた。 「最後に一つだけフクシア、あんたに言っておくことがある。そのままでいい」 一瞬、空気が硬直した。 本能的に警戒態勢に入る。
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