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ですが流石に東西を間違える事なんて有り得ません。
ナイフを持つ方が東、フォークを持つ方が西なのです。
私は意気揚々と東の森へと向かいました。
街の門から出て森へと向かう途中、視界には傾き出している太陽が映りました。
最近は陽が落ちるのが早いです。
暗くなってしまえば何かと不便なので、早いところ焚き木を集めて帰る事にしました。
「焚き木、焚き木やぁーい」
意味はないけど、何となく声かけ。
森の入り口付近は既に、街の皆さんの手で取り尽くされてました。
辺りに残されているのは生木だけで、これだと中々燃えないので使い物になりません。
少し奥まった所へ移動します。
「焚き木さーん。調度良い焚き木さん……!?」
地面を眺めてさすらう私の目に、とんでもない逸品が飛び込んできました。
何というか、妙に存在感がある木の枝です。
長さや太さは持つのに調度良く、先端はワサワサと小枝が分かれ、赤茶けた葉っぱが随所に張り付いています。
そして誂(あつら)えたかのように、持ち手部分には節目があって手に馴染むのです。
「これは素晴らしい! ユグドの剣と名付けるに相応しいものだ!」
私は俄然やる気を出し、森の奥へ奥へと進んで行きました。
気持ちはもう、向かう所敵無し。
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