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「これが見えねぇてのか。調子に乗ってると、切り刻んで野良犬の餌にしちまうぞ!」
「貴様らこそ、これが見えんのか。天地開けてよりヒトの業を凌駕し続ける、このユグドの剣を」
「ユグドの……剣?」
「いや、どう見ても木の枝……」
男たちは錯乱しだしているのか、訳の分からぬ事をほざきだした。
この名高き名剣を、事もあろうに木の枝と見間違えるとは。
これには流石の私も腹が立った。
簡単に終わらせず、地獄の苦しみを与えてやろうと心に決める。
腰だめにユグドを、今は亡き友の忘れ形見を構え、それからゆっくりと天に向かって掲げた。
その時、一陣の風が吹き荒れた。
揺れる枝葉がザワザワと音を立てる。
まるで私の怒りを理解してくれるかのように。
「お、おいガキ! 何をしようってんだ!」
「知れた事。貴様らを地獄の底に突き落としてやるまでだ」
「な、何だとぉ!?」
「地に眠る凶なる邪竜よ! 乙女の赤血は盟約が糧、千年の約定に従い、我が声に応えよ! 地焦がし空穿つ無明の力を、このエクスカリバーに授けよ!」
「おい! 一体何が始まるんだよぉ!」
「クソが、とりあえずユグドなのかエクスカリバーなのか、ハッキリしやがれ……」
聖剣エクスカリバーに確かな力が宿るのを感じた。
後は一薙ぎするだけで敵を葬る事が可能となる。
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