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次の日学校に行く電車の中で朋美に朝の挨拶をしたが、まだ怒っているのか朋美からの返事はなかった。
「朋美?どうしたの?」
「ウザい。近寄らないで」
優香はビックリした。まさか朋美までが。
電車の中は混みあっていて、通勤のサラリーマンらしき人が驚いたような顔をしてこっちを見ている。
「朋美、何て言ったの?」
「だから。ウザいんだよ。気づけよ」
回りの人達が皆こっちを見ている気がしてきた。優香は言葉が出なくなり、俯いて両手で持っている自分の鞄を見る。そこには二人で買った友情のキーホルダーがついていた.。
それから優香と朋美は話す事が無くなった。アルバイトはその日から1週間で辞めることにした。理由は勉強が遅れてしまったからだと嘘をついた。
「残念ですね。折角慣れてきたのに」
店長が心配そうな顔をしてくれたが、朋美に気がある人である。なんだか信用できない。
「はい。すみません」
「また、暇が出来たらアルバイト来てくれないかな。武田さんなら大歓迎だから」
これで、人生で初めてのアルバイトも終了となった。
学校は大学に進学したかったので、無理をしてでも通っていた。優香は学校の中でも成績が良い方で大学進学は確実だったが少しでも上を狙いたかった。優香が勉強一筋になったからか、皆がいじめに飽きてきたのか3年生になると何人かが優香と話をしてくれるようになった。クラス替えは無かったのだが、少しずつであるがお昼を一緒に食べる友達もできた。その中の一人である香苗が優香に教えてくれた。
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