ハンバーガー

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「優香、一緒にアルバイトしない?」 「アルバイトってどこで?」 「大宮の駅前のハンバンガー屋さん」 「どうしようかな」 今は高校からの帰り道、電車の中である。季節は冬、電車の中は暖房と人込みで変に温まっていた。その中で友人の朋美は熱心に優香に話しかける。 「アルバイトしてお金貯めた方がいいって。好きな洋服も買えるし。ねえ優香?」 「そうだね。可愛い服欲しいし、やってみようかな」 優香はそう言うと、電車で偶然空いた席に座った。朋美はその前に立って、なおも熱心に優香に話しかける。 「じゃあ、明日電話してみてそれから面接に行ってみない?」 「いいよ。なんだか緊張する」 「私もー。受かるといいね」 電車は混みあっていて、二人の通っている高校の制服を着ている子も多い。今は二人共高校1年生。初めて朋美と話をしたのは高校に入りたての春だった。それから親友とも呼べる仲になるのは二人の気が合ったからであろう。お互い洋服が好きでよく渋谷や原宿に買い物に出掛けていた。通勤用の鞄にはその時に買った友情の印の熊のキーホルダーがついている。共学の進学校である学校の行き帰りはいつも二人で通っているのだ。仲良く雑談を交わしていると電車は朋美の降りる駅に着いた。 「じゃあ明日ね」 「うん。また明日」 ハンバーガー屋さんか。バイトデビューするには良いかもしれない。朋美が一緒なら気が楽である。優香はスマホを取り出し、ハンバーガー屋さんの情報を調べた。確かにアルバイト募集と出ている。時給はそんなに良くないが、高校生のアルバイトならこんな物だろう。緊張と楽しみが同時に優香の心にやって来た。
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