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優香が本当の話をしようと思っていたら、朋美達がパンを買って戻ってきた。優香は朋美に何故嘘をついたか聞きたかったが何故か言いづらい。お昼休みが終わり、帰る時間になった。学校から帰るのはいつも朋美と二人である。ちょうどいい、優香は帰りの電車の中で朋美に本当の事を聞いてみた。
「えー。香苗がそんな事言っていたの?勘違いだよ」
「でも・・・」
「そんな事どうでも良くない?」
確かに言われてみればその通りだ。だが何か腑に落ちない。
「それよりアルバイト急ごうよ」
朋美はその話を続けたくなさそうである。優香もそれ以上追及できない。
「うん。解った」
朋美に同意して二人はアルバイトまでの道のりを急いだのであった。
「二人共早いですね。時間までまだあるからゆっくり支度していていいよ」
店長が急いでやって来た二人を見て、にっこり微笑む。朋美は
「はい」と愛想良く答える。そして優香に
「急いできて良かったね」と言った。
「そうだね。これからも早く来るようにしよう」
二人のそんな会話を聞いていた店長が
「二人共関心だね。早速時給アップしなくちゃかな」と冗談を言った。この会話を口きりに二人の間に流れていた嫌な空気が無くなってきた。
その日の帰り道、朋美は
「今日もハンバーガー買って帰ろうよ。っていうか、これからずっと買って帰らない?」と少々興奮した口調で言った。
「毎日ハンバーガー?飽きちゃうな」
「胸が大きくなる為だよ」
「そうだ。この話、確か二人の秘密の約束って・・・」
「うん?そう。二人の秘密だよ」
「でも、知ってる子いたよ」
「皆の噂だからかな?」
「そうなの?」
「そうだよ。だからこのハンバーガー屋さんで働きたかったのだもの」
朋美が寒空を見上げて言う。
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