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二人の目線は僕のスマホに向けられる。
あなたの色です――
「え、あんたこれ......」
「あっ」
川野さんの笑い声が響く――
「あんた真っ黒じゃん! こんなの見たことないよ、もしかしてあれ? 根暗? 腹黒いってこと? レアだねー」
恥ずかしさと悔しさで、笑いながら言う川野さんの言葉を聞き取るだけで精一杯だった。
「いや、はい、すみません」
一瞬でもドキリとした自分への罰だと思った。こんなに可愛くて世の中の表舞台の人が裏舞台の僕なんかとどうのこうのなるわけがない、またクラスで言いふらされてイジメられる覚悟をしなければ。
「じゃあさ、交換条件ってどうよ」
「交換条件?」
「あんたさ、このこと教室のみんなにバラしたらどうせイジメられるっしょ?」
「はい」
「だから、黙っててあげるから、私のも黙っててよ、ね?」
これには助かった。一度クラスで広まるとその学期中は言い続けられる。それにこんなに可愛い女子と秘密を共有できるなんてと思うと、嬉しささえ覚えた。
長い髪が揺れる、女子の匂いがふわりとした。
「聞いてんの!?」
「......えっ? あ、はい」
大きなため息と共に僕の隣にある机の上に座った。
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