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パパは自分の予定より少し早くこの世を去ることになるけれど、もう未練はありません。ただ、一つだけ心残りというか心配なことがあります。それは、パパとママが離婚したことで、さとみが人を好きになったり、愛したりすることに臆病になってしまうのではないかということです。
人を好きになること、愛することはとても素敵なことです。人間は愛することで成長でき、世界とひとつになれるのだと、パパは思っています。人を愛するということは、自分とはまったく違う他人のすべてを受け入れて、自分と同じように愛することだと思う。愛することで、愛されるということの意味もきっとわかるはず。そういう意味では、パパにはその力が少し不足していたんだと思う。離婚してしまったのだから。さとみには本物の愛をつかみ、本物の愛に出会ってほしいと願います。
いつかさとみも好きな人に出会い、恋愛するんだよね。さとみは知らないだろうけど、パパは恋愛の達人(?)だから、生きていれば、さとみの恋愛の相談相手になれたのに、それができないのは残念だ。
恋愛の末に、やがては結婚することになるよね。さとみの花嫁姿、見たかったな。きっとママに似てきれいなんだろうな。その隣にパパがいられないことが、とても切なく寂しいです。
どんなことがあっても、誰が何と言おうとパパとママはずっとずっと君の味方だし、君を応援していることを忘れないでください。パパの姿は一瞬見えなくなるけれど、君が会いたい時、君が必要な時に目を瞑ってくれれば、いつでもパパに会えるよ。だから、「さようなら」は言わないよ。
最後に報告があります。3日前にパパは再婚しました。その人は突然パパの病床に現れ、やせ衰えたパパを見て涙を流しながら、パパに逆プロポーズをしました。嬉しかったけど、死にゆくパパには彼女のプロポーズを受け入れる資格はないので固辞しました。でも、パパのその意思よりも強い意思で、その人はパパとの再婚を願いました。だから、パパもその思いを受け入れました。その人の名は旧姓中島恵子。そう、さとみの大好きなママです。パパは本当に幸せ者です。
じぁあね、また会う日まで。
ダメダメのパパより
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