ランチタイム狂詩曲 2 海が見えるホテル

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従姉妹の香苗が10歳下の大阪生まれの 青年との結婚を決めた。 香苗が私より10歳下なので 「ほぼ息子・・・」 つい絶句してしまった。 結婚式に出席するため大阪へ。 香苗の両親も私の両親も 関東生まれの関東育ち、 「縁のないところだわ」 なんて適当なことを言ったけど、 結婚式の翌日、南海電車に乗って 和歌山市駅で下車、 レンタカーを借りて42号線へ。 土地勘はある・・・ 毎年来ているのだから。 二十代半ば、私は同い年の彼と 遠距離恋愛をしていた。 東京日本橋のオフィス街、 新入社員が行き交うランチタイム。 私の証券会社の隣ビル、 機械メーカー営業の 和歌山出身・佐原くんと、 何度かテーブルを一緒にするうちに グループで飲み会、高尾にハイキング。 なんとなく気が合って 私達は付き合い始めた。 私は親に、 「通うのが大変だから  都内にワンルームを借りた」 ウソをつき、 週の半分は彼の部屋で 新婚生活の真似事をしていた。 (3年くらいはダブルインカムで。  でも子供が出来たら仕事はヤメて・・・) 勝手な空想が 「転勤で関西戻るんや」 遠距離恋愛に方向転換した。 1か月に1、2度、 彼が東京へ来てくれたり、 私が和歌山を訪れたり。 「ここが和歌の浦、  和歌山人のデート定番や」 明るい陽射しの浜辺までドライブ。 「最近、小洒落たモンが出来た」 連れて来てくれたのが、埋め立て地の 遊園地やリゾートマンション。 マリーナを備えた海の見える リゾートホテル。 和歌山へ来ると可愛いテラスで ランチを過ごした。
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