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河口沿いに車を流してホテルへ。
チェックインしてテラスカフェへ。
「ランチコースを」
注文の後、ゆっくり海を見た。
半年程上手くいってた遠距離恋愛は
「福岡転勤が決まった。一緒に行こう」
ではなく、
「ちょっと会うのは難しなるなあ・・・」
その言葉通り連絡のつかないことが
増えて自然消滅・・・。
でも、なんとなく踏ん切りが
つかないままに・・・毎夏、
来てしまうこのホテル・・・。
(ここも外国人観光客が増えてるのね)
広いフロアを見渡す。すると
「 ! 」
テーブル三つ向こうの隅、
佐原くん・・・佐原くんがいた。
それなりの歳にはなっていても、
二十代の頃の笑顔は変わらない。
その笑顔を向けているのは
同い年くらいの女性、
ショートカットの後ろ姿が見えた。
そこへ
「結婚記念日おめでとうございます!」
ケーキとワインが運ばれてきた。
「当ホテルで挙式戴いて
14年目になりましたが、
相変わらず睦まじくいらして・・・」
支配人の挨拶に
(14年目?・・・14・・・)
頭が真っ白・・・
重なってる・・・重なってる。
とりあえずランチに口をつけるけど
味なんかわからない・・・
時折聞こえる“奥さん“の笑い声に
胃が痛いような気がして
佐原くんが席を空けたスキに
テラスを出た。
長い廊下の陰に彼の姿が・・・
やはり声をかけたい衝動、
少し近づくと
「僕や、明日は営業の合間に
時間とれそうや!ちょっとでも
会おうよ。・・・大丈夫、
ラブホくらい行く間あるよ、
なあ、会おうや」
(・ ・ ・ ・・・・)
小走りで去った。
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