空の果てまで会いに行く

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 しばらく雲の絨毯を進んでいくと、少し盛り上がった雲の上に冬の精霊が腰掛けていた。 『あらあら、ずいぶんと可愛らしいお客様ね』  どこもかしこも、白い女性だった。学園で行われる“白の祭”は、白い衣服で参加するのがルールだが、それはきっとこの白い女性の姿を模しているのに違いない。ストレートでキメの細かい髪は腰まで伸び、まつげも眉毛も白色だ。それぞれの衣服や髪が陰になっている所はほのかに青みを帯びており、彼女が人ならざる精霊であることが手を取るようにわかる。  冬の精霊は、雲の上に腰掛けたまま微笑んだ。 『聖クーニグンテ魔法学園の生徒さんね。こんなところまで訪ねてきてくれるだなんて嬉しいわ。よっぽど学校の勉強を頑張っているのね』  冬の精霊が褒めると、エデは照れるようにして頭をかいた。 『あなたがたがここまで昇ってくる様子は見ておりました。私の体調が優れないのは、白龍が話してくれた通りです。暑くて暑くて……。炎の魔神も、悪いヒトではないのですけど』  そう話す冬の精霊は、微笑んではいるものの、ぐったりとした様子だ。エデはそんな彼女の様子を見て、ドン、と胸を叩いた。任せろ!の意らしい。 『炎の魔神と話し合うつもりですか? では、こう伝えてきてください。“白の祭”を邪魔しないでください、と。これを楽しみにしてくださっている方々もいるのですから、と──』  エデはにこにこと頷くと、また雲の上を歩き始めた。もっとも、彼女が楽しみにしているのは“白の祭”そのものではなく、学校が休みになることな気がするが。私は慌ててエデを追おうとすると、冬の精霊は私に声をかけた。 『炎の魔神も紳士な方ですから、あなたたちに危害を加える事はないでしょう。ですが、十分注意してくださいね』 「注意って、どんなことですか」  私が尋ねる。 『そうですね。相手を怒らせないとか、逆上させないとか、魔法で対抗しないようにする、とかでしょうか』  全部エデが苦手とする項目ではないだろうか?
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