空の果てまで会いに行く

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■  彼女の名前はエデ=デュマ・ペール。聖クーニグンテ魔法学園の1年生。彼女は生まれつき、言葉をしゃべることができない。にもかかわらず、エデは魔法を使うことができる。誰よりも複雑で強力な魔法を、いとも簡単に。彼女は魔法の天才なのだ。  私はそんなエデのクラスメイトであり、寮のルームメイトである。しゃべれない彼女のためにサポートを行うこともあるが、私もエデから実技の宿題をパクらせてもらっていたりするので、WIN-WINな関係である。 「ねえねえエデ、これとか似合うんじゃない?」  私は彼女に、白いファーの付いたコートを勧めてみた。肩の部分や袖の部分には暖かそうなファーあしらわれており、“白の祭”にぴったりだ。彼女にも似合うだろう。  エデは『特撮仮面エイダー』のコスプレスーツを熱心に見ていたが、私が勧める白いコートを試着してみることにしたようだ。 「お客さん、“白の祭”の衣装かい?」  私が特撮仮面スーツを丁重に戻していると、店のおばあさんが話しかけてきた。この街の店員さんは、よく学生に話しかけてくる傾向にある。 「はい、私はワンピースを買おうと思ってるんです」  私が言うと、衣類店のおばあさんは少しだけ顔を曇らせた。 「今年も、“白の祭”が無事に開催できるといいんだけどねぇ」 「何か、問題があるんですか?」 「今年はね、冬の精霊の体調が悪いみたいなんだ」
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