空の果てまで会いに行く

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■ 「ねえ、エデ、待ってってばー!」  エデは衣類店で買い物を済ませたあと、ずんずんと町のはずれに向かっていた。魔法学園とは真逆の方向だ。いったい、どこに向かっているのだろう?  “白の祭”は、冬の精霊の祝福、すなわち雪に感謝する日だ。この時期、冬の精霊は雲の上に滞在していて、時期になるとこの町に祝福をかけるのだという。授業で習ったことがある。 「エデー! 速いよー!」  何でこんなに歩くのが速いのだろう。衣類店の紙袋を持ってエデを追いかけていると、そのうち舗装された道路がなくなり、冬の枯れ葉が広がる町外れへと出てしまった。  あんまり遠くに行くと、学園の先生に怒られてしまう気がする。しかしその私の心配は杞憂に終わった。エデは湖のほとりで足を止めたのだ。  12月の湖だ。他に人間はいないし、水鳥のつがいがぷかぷかと浮かんでいるだけで、特筆すべきものもない、ただの水辺である。 「ねえ、どうしたの。こんなところで止まって……」  エデは私に、紙袋を押し付けた。持っていればいいのだろうか。私が受け取ると、エデは2,3歩前に出て、両手をぎゅんっと横に突き出した。     
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