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『ああ……体調不良というよりは、夏バテだな』
「夏バテ!?」
白い巨大な龍が話すには、こういうことらしい。この時期、雲の上には冬の精霊が滞在しているのだが、そこに毎日のように訪ねてくるものがいるのだという。
その正体は、炎の魔神。龍曰く、炎の魔神は冬の精霊に惚れていて、毎日のように求婚を行っているのだ。しかし冬の精霊は寒さの精霊。暑苦しい魔神の連日の訪問に、冬の精霊は参っているのだという。
「じゃあ、今年は“白の祭”が開催されないかもしれない、ってことですか!?」
私は叫んだ。冗談じゃない、貴重な、授業がつぶれる休日なのに!! エデも地団駄踏んでムキー!とポーズをした。授業をサボりたいのは、彼女も同じだろう。
「どうすればいいんですか!?」
『炎の魔神が居る限りは冬の精霊は弱ったままだし、炎の魔神も去る気はないだろう。誰かが炎の魔神を説得しない限りは……』
白い龍が説明すると、エデはキッと空を見上げた。そして、ぐっと腕を突き出し、凛々しい表情で空を指差しす。
「……え、行く気?」
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