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あんまり無茶はするなよ、と言い残して白い龍は湖の中に消えた。止めてくれよ……。
「でも、どうやって雲の上まで行くの? エデって空飛べたっけ?」
どうせ飛べるんだろう、と知りつつ私は続ける。
「さすがのエデでも、炎の魔神を説得することなんて出来ないと思うけど……」
エデはローブのポケットから、先ほど購入した白いペンキを取り出した。どう見てもポケットに入る大きさではないが、彼女のポケットは四次元的である。
エデがもりもりと魔法をかけると、バケツが浮遊した。デッキブラシを取り出すと、ペンキの中に突っ込む。そうして、彼女は宙を塗っていった。
私は目を見開いた。白い階段が塗られている。まるで、そこに目に見えない透明な階段があって、それをエデが白いペンキで塗ったかのような。エデは10段ほど白い階段を塗ると、ちょいちょいと手招きをした。私も上って来いといっているらしい。
「ええ、怖いなぁ……」
私が一段目を踏みしめると、案外しっかりとした感触が足の裏から帰ってきた。これなら上れる気がする。……地上を見ないようにすれば。
エデはルンルンしながら、階段をワックスがけするかのように、上へ上へと昇っていく。
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私の息が切れる頃には、階段の端は雲の先っちょへと接続していた。私はぜーはーと肩で息をしながら、雲の高度を考えようとして、止めた。
エデはデッキブラシをしまうと、雲の上に飛び乗り、ふわふわと先へと進んでいった。私は恐る恐る、雲の絨毯の上に足を移動させた。もこもこするが、ちゃんと私の体重を支えてくれるようだ。エデに置いていかれないように、エデの後ろを追う。
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