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おそるべき子供たち
◇マスカダイン教◇
マスカダイン島民が信仰する民間宗教である。
九体の神霊を崇めることで、自然の恩恵を賜ることができると信じられている。
自然崇拝の要素が強く、神霊には火、土、風、水、金などの元素を象徴する神霊が七体存在し、他に予言、癒しの力を持つとされる二体の神霊がある。
それ以外にナトギと呼ばれる自然精霊がある。
過去には人身供犠を思わせる風習があったとされている。これは古代マヤのように神霊に人命を捧げるのではなく、現代のネパール処女神クマリのようなものだったという説が有力である。九つの神霊に対して島民が「器」【神霊の容れ物】として選ばれることがあったようである。
器になることは社会的栄誉だったらしい。器に選ばれた者の縁者が利益を得たようなことも記録されている。
しかしのちに、この器としての役割は、マスカダイン島民が他民族と抗争して得た戦争捕虜が担うこととなった。
戦争捕虜たちのうちでも、特に子供が選ばれる事例が多かったようである。
現在では、もちろんこのような生き神の存在は無く、各地の神殿には人型をした像が祀られているが、祭日には、それぞれの神霊に扮した子供が街中を練り歩く行事もある。
また、島民の中にはワノトギと呼ばれる特別な洗礼を教会で受けた者が存在している。
少数の彼らは島民から「神霊の加護を受けた者」して扱われ、行事にてその役目を果たすことが多い。
他宗教と比べて興味深い点は、神霊に供する供物といったものがマスカダイン教にいたっては一種のみだというところである。
島の特産物である葡萄と似たマスカダイン属マスカダインの果実のみが神殿に奉納される。
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