おそるべき子供たち

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 夏休みの終わり。  リビングに居る小学二年生の圭吾はゆううつでした。  もうすぐ学校が始まるからです。  ああ、イヤだ。もっと遊びたいよ。  釣りに行ったり、湖で泳いだり、山を登ったり。  一日中ゲームをして、アイスやお菓子を食べて、ゴロゴロ寝転がり、テレビを見たりマンガを読んでいた日々も、もう終わり。  なんて楽しかった夏休みだったのでしょう。  それが、一週間後にはきゅうくつな制服を着て、固いイスに座ってじっと先生の話を聞いていなければならなくなるなんて。  考えるだけでゾッとします。 「ヘイ、ケイゴ! 教会の神父さんに焼きすぎたクッキーをもっていってちょうだいヨ!」  甘い匂いがするキッチンから、キルゼおばさんの声が飛んできました。キルゼおばさんは最近、とても機嫌がよくウキウキとしています。もうすぐ圭吾が日本に帰るので、それが嬉しいのかもしれません。 「わかったよ」  圭吾は舌うちをして、寝転んでいたソファーから下り、立ち上がりました。  圭吾は夏休みのあいだ、お姉ちゃんと結婚したロランゾおにいさんの親戚の家に遊びに来ていました。  ロランゾおにいさんは、日本人ではありません。     
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