お正月国と地獄の門

1/32
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

お正月国と地獄の門

 冬休みの近づいた日曜日です。  小学二年生のかっちゃんの家には近所に住む友達の武道(たけみち)くんが遊びにきています。  かっちゃんはたけちゃんとかっちゃんのお母さんの三人とでコタツの上で花札(はなふだ)をしていました。  たけちゃんのおじいちゃんがこの間、たけちゃんとかっちゃんに花札の遊び方を教えてくれたのです。それからずっと、たけちゃんとかっちゃんは花札にハマっているのでした。  手七(てしち)場六(ばろく)。  札をそれぞれの前に裏向けて七枚配り、真ん中に表向けて六枚並べ、残りを山にして置きます。 「うわあ、鬼がでた」  最後に表を向けて前に置いた札は、鬼、とも呼ばれる(かみなり)太鼓(たいこ)の真っ赤な雨札(あめふだ)でした。  トランプのジョーカーのような札です。  好きな札をどれでも一枚、取ることが出来ます。  ジャンケンで勝ったかっちゃんが鬼の札で、隣に並んでいた月の札をとり、スタートしました。 「次、お母さんの番」 「はいはい」     
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!