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かっちゃんのお母さんは眠そうな弟の幹宏を膝に乗せて絵本を読んであげながら、コーヒーを飲みつつ、花札に参加して、隣の麻美とも床に置いた百人一首で「坊主めくり」をし、更にチラチラとテレビのドラマも横目で見ています。
『かっちゃん、おばちゃん大変やで。この回、終わったら二人でしよう』
たけちゃんが気を遣って、かっちゃんの耳元で囁きました。
『えー、しょうがないなあ』
かっちゃんはしぶしぶながら頷きました。三人でするのと二人でするのとでは面白さが全然違うからです。妹のマミが花札を出来れば一番いいのですが、まだ小さいのでルールが分からないのです。
電話が鳴りました。
お母さんが幹宏を膝から降ろして立ち上がりました。
マミが早速、ごね始めました。
「勝也、幹宏を見てあげて。お母さんの代わりにマミと坊主めくりをしてあげて」
かっちゃんの返事も聞かずにお母さんは電話の方へ急いで向かいました。
「しゃあないな、一旦お開きや」
札を置いて、たけちゃんがマミの前へと移動しました。かっちゃんは目が覚めてパッチリと大きな目をした幹宏を抱っこして、たけちゃんの隣に座りました。
「マミちゃん、おばちゃんの代わりに俺がするわ」
マミはニッコリしました。
優しいたけちゃんがマミは好きなのです。
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