0人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
へびの王さま
かっちゃんは生きものが脱皮した後の、脱けがらを集めるのが好きです。
いろいろなセミ、へびの脱けがらを見つけては、黄色い大きな缶の中に入れています。
鎌倉のおばあちゃんがいつも送ってくれるサブレの缶です。
学校からとぶように帰ったかっちゃんは、制服から着がえると、その缶をさがしました。
近所に住む武道(たけみち)くんが、土手で大きなへびのかわを見つけたと、かっちゃんに教えてくれたからです。
「缶、缶。おかあさん、缶、知らない?」
押いれのすみっこにいつも缶を入れてあるのですが、その場所にはありません。
「勝也しかさわらないでしょう!?」
おかあさんは赤ちゃんをだっこしながらイライラしています。
赤ちゃんを産んでから、おかあさんはダイエットをしているのであまり機嫌がよくありません。
「だって、ここに入れておいたのに無いんだもん」
押いれに頭をつっこんでいたかっちゃんは、まさか、と思って頭を押いれの中から出しました。
妹の麻美を、学校から帰って見ていません。
最初のコメントを投稿しよう!