へびの王さま

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へびの王さま

 かっちゃんは生きものが脱皮(だっぴ)した後の、脱けがらを集めるのが好きです。  いろいろなセミ、へびの脱けがらを見つけては、黄色い大きな缶の中に入れています。  鎌倉(かまくら)のおばあちゃんがいつも送ってくれるサブレの缶です。  学校からとぶように帰ったかっちゃんは、制服から着がえると、その缶をさがしました。  近所に住む武道(たけみち)くんが、土手で大きなへびのかわを見つけたと、かっちゃんに教えてくれたからです。 「缶、缶。おかあさん、缶、知らない?」  押いれのすみっこにいつも缶を入れてあるのですが、その場所にはありません。 「勝也(かつや)しかさわらないでしょう!?」  おかあさんは赤ちゃんをだっこしながらイライラしています。  赤ちゃんを産んでから、おかあさんはダイエットをしているのであまり機嫌(きげん)がよくありません。 「だって、ここに入れておいたのに無いんだもん」  押いれに頭をつっこんでいたかっちゃんは、まさか、と思って頭を押いれの中から出しました。  妹の麻美(マミ)を、学校から帰って見ていません。     
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