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かっちゃんより先に幼稚園から家に帰っているマミは、かっちゃんが帰ってくると「お兄ちゃん」と言っていつも飛んでくるのにです。
「マミ!」
子供べやを開けると、マミがこっちを振り返りました。
座りこんだ脚の間に黄色い缶がありました。
「お前、何してんだよ!」
かっちゃんはあわててマミのところへ行って缶の中を見下ろしました。
「あっ」
ひどい。めちゃくちゃです。
かっちゃんの宝物のかわとマミの宝物のビーズのネックレスがごちゃ混ぜになっています。
レアものの、一番大事にしているカマキリの脱けがらがネックレスとからまっているのを見て、かっちゃんはカッとなりました。
「マミのバカ!」
かっちゃんはマミのかみの毛をつかんで引っぱりました。
とたんにマミは火がついたように泣き出しました。
「勝也!」
おかあさんがとんできました。
「マミが悪いんだよう!」
かっちゃんは真っ赤になって大きな声でさけびました。そして、缶をかかえると部屋をとび出しました。
おかあさんはマミの味方をするに決まっています。いつもそうなのです。マミの方が小さいんだからがまんしなさい、とかっちゃんに言うのです。
かっちゃんはそのまま玄関に行くとくつをはいて家を出ました。近所の武道くんの家にむかって走りました。
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