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武道くんの家に行くと、家の前の菜園で武道くんと武道くんのおじいちゃんが座っていました。まだ武道くんは制服のままでした。
「かっちゃん、もう来たん? はや」
武道くん――たけちゃんはかっちゃんを見るとおどろいて言いました。
たけちゃんは関西から引っこしてきた子です。
「着がえてくるから、まっててや」
たけちゃんは家の中に入って行きました。
おじいちゃんは庭の菜園の野菜についている青虫を取っているところでした。
「今日も遊びに来てくれたんかいのう」
おじいちゃんがかっちゃんを見て、かかか、と笑いました。おじいちゃんの顔はまっ黒で、生えているヒゲはまっ白でした。
「いいもんあげよ」
そう言ったおじいちゃんに、またか、とかっちゃんはげんなりしました。
「ほい、口あけえ」
ふり向いたおじいちゃんの手には植わっていたパセリをちぎったかたまりがありました。そして緑のかたまりをかっちゃんの口もとに近づけました。
「パセリはようさん栄養があるんやで。身体にええんや。毎日食べたらええねん」
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