疑惑

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疑惑

「ただいまー」 玄関ドアを開けると、リビングに通じる直線廊下の電気がパッと着いて俺をお出迎え。 ……し、ん…… 手に持つ荷物を廊下に置いて一息。 まだ帰ってないのか。 いや、当たり前なんだけど。 ドアの前から窓を見ても真っ暗だったし。 まあでものんびりしてる暇はない。10時回ってるから間もなく帰ってくるはず。 靴を脱いでささっとスポンジで拭く。スーツの上着も脱いでブラシでぱぱっ。 上着を腕に引っ掛けて荷物を持ち直してリビングへ。すんと鼻から息したら懐かしい香りがした。 リビングの電気をつけたら目に入るのは、ダイニングテーブル、とその上にいつものタブレット。 つい、口元が緩む。ソファに上着を置いて荷物をダイニングテーブルの上に置く。 ご飯食べたかな?まだなら何か簡単なものを作るか。あーでも買い物行ってあるのかな。 とりあえず、ご飯あればあっちで買ってきたご当地カレーのレトルトがあるからなんとかなる。 風呂も沸かしとかないと、だな。 どっちにしても着替えないと。 ガチャリ 「た、ただいまっ!」 バタバタバタッと駆けてくる足音につられ、俺の体も自然に動く。 「直人!」 「おかえり、花菜。」     
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