序章

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「こんな事言ってくれる女子、なかなか いないぞ? 良かったな、宮本。」 春山が俺の肩をバンっと強めに叩く。 「痛いよ、春山。」 当時、24歳の春山には、結婚を約束したピアニストの彼女がいた。 奴は、元々、世話好きな事もあり、俺にも彼女を作らせようと要らぬ世話を焼いてくれていた。 この飲み会以来、俺は伊藤が気になって仕方ない。 だけど、俺は、女から寄って来られる事はあっても、自分から女に寄っていった事はない。 何をどうしていいのか、さっぱり分からない。 仕事帰り、2人で歩きながら、それとなく匂わせてみるが、伊藤には、さっぱり通じない。 年が明けて3月の初め、俺は勇気を出して、伊藤を飲みに誘った。
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