595人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
2人っきりで、春山に聞いた雰囲気のいいジャズバーに連れて行く。
伊藤はいつもの居酒屋でない事に戸惑っているようだった。
「宮本さんは、ここ、よく来るんですか?」
伊藤が聞いてきた。
「うん。
…って言いたいけど、ほんとは初めて。
伊藤と来てみたかったんだ、ここ。」
春山がここで勝負懸けろって言ってたから。
「宮本さんがそんな事言うと、女の子はみんな
勘違いして後で大変な事になりますよ。
修羅場になりなくなかったら、もう少し
言葉を選んでください。」
「ん? 勘違い? 何が?」
伊藤、それは勘違いじゃないよ。
「自覚ないんですか?」
伊藤が憮然として言う。
「んー、ま、それなりに?」
俺は、王子って言われ続けて、かれこれ7~8年になるからな。
「じゃあ、心臓に悪い台詞言うの、やめて
くださいよ~」
「ムリ。」
「は? 何でですか!?」
「だって今日は、結を口説きに来たんだもん。」
「え!?」
伊藤が驚いてる。
春山が言ってたんだ。
さらっと名前で呼べって。
「結、かわいい。
そんな結が好きなんだ。
俺と付き合おう?」
俺はそう言って、伊藤の手を握った。
最初のコメントを投稿しよう!