246人が本棚に入れています
本棚に追加
/541ページ
でもね、そんなに急いでお家に帰る必要のない人間は、たまにこうして濡れて歩くのも悪くないのよ。だって、わたしには、帰っても待っている人なんていないから――。
十丁目の公園を抜けて横断歩道を渡り、十一丁目に差し掛かったところで、背の高い大樹を模したモニュメントが見えた。
「マイバウム……」
はためくドイツの国旗やミュンヘン市の旗、風俗、行事に興じる人物などを描いた絵が飾られた大樹のモニュメントは、マイバウム、という。
一九七二年、冬季オリンピックが開催された札幌市は、その年の夏季オリンピックを開催したドイツのミュンヘンと姉妹都市提携をした。このモニュメントはそのミュンヘン市から札幌市に贈られたもの。三十年という月日を経た今は、修復修繕復元を経てここにその姿を留めている。
最初のコメントを投稿しよう!