春になったら逢いに行きます【完結】

十三年後のマイバウム１

　背中を突きながら小声で言うと、摩耶は「ひえぇえ～」と言いながら走って行った。

　わたしの胸を押し潰すように、乗っけられていた重石が外された。真紀子さん、ナイスタイミング。真紀子さんはそんなつもりではなかっただろうけれど。心の中でそっと「ありがとうございます」と呟いた。

　今夜は夜の仕事もないし、まるいさんの地下で美味しいドイツワイン買って帰ろう。

　わたしは準備した道具を持って席を立った。